FUUCA ARCHITECTURAL DESIGN

WORKS

西脇の家

兵庫県中部に位置する西脇市。比較的交通量の多い交差点の角地にこの家は建っています。北側には繊維工場が建ち、鋸屋根・杉の下見板が良い風合いを出しており、遠くを望むと丸みのある小さな山々が重なり合いながら西脇市の風景になっています。

クライアントは今まで育ってきたこの土地柄をとても愛しており、風土を享受し、地域に開けたような家を望んでみえたため、周りに圧迫感を与えず、風景に調和するような建築を目指すことにしました。

ボリュームは高さを抑えた2階と平屋にそれぞれ同じ勾配の切妻屋根を架けています。重なり合うボリュームの姿は土地の南東の山並みの風景から着想を得て屋根の形状を決定しています。

プランは夫婦が将来的に1階で生活が成り立つこと、そして来客が多いため公私の住み分けをどのように順序立てるかが計画の要点になっています。

平屋部分はパブリックの性格が高いスペースとし、床レベルを極力下げ庭に近い関係を取っています。造作工事でソファーをつくり、大勢の来客にも備えています。
450mm上がったレベルにはダイニングとキッチンスペースを配置し、吹き抜け、2方向の庭の関係をつくり、抜けのある大らかな空間の中で食事の時間を楽しむことができます。
そのスペースを抜けると和室、収納室、水周り、勝手口をまとめ、階高を抑えることで12段の階段で2階へ辿りつけるようにしています。

これから時が経つにつれ樹々は育ち、無垢の素材は風合いを増し落ち着きを与えてくれると思います。この家が地域の西脇の風景の一部として馴染んでいくことを望んでいます。

設計期間：2014年2月～2014年9月
竣工：2015年5月
所在地：兵庫県西脇市
構造規模：木造2階建て
敷地面積：407.15m²
建築面積：104.79m²
延床面積：131.25m²

施工：中村工務店
写真：329Photostudio

建築費用：2500-3000万円代

〔お客様の声〕

結婚し、子供にも恵まれ、家族としての意識が強くなってきた時に本格的に考えたのが「住まい」でした。私は西脇が好きです。漠然と「将来は自分の生まれ育った地元で家族と暮らしたい」という思いがありながら、なかなか地元には戻れずにいました。縁あり地元に戻ることができ、家づくりに対して本気で考えるようになりました。

私も建築関係の仕事に携わっています。フウカの中村君とは同じ大学で4年間、勉学を共にしました。
学生のころから、「将来独立したら俺の家お願い」といっていたのですがそれが本当に実現しました。私たち家族のことをよく知り理解してくれていることが何より安心して頼める理由でした。

友人から設計士とクライアントの関係になり、計画が始まりました。家について時間をかけながらいろいろ話ました。希望を伝えつつも基本的に中村くんに任せてプランの検討を重ねていきました。その中で要望の整理もでき、かたちになっていったと思います。
当初は2階にすべて寝室をつくっていましたが、寝室を1階にしてもらい将来的に夫婦は一階で生活が送れるように伝えました。妻からは「使う場所にその収納が欲しい」というのが大きな要望でした。洗面脱衣室の収納については妻の要望も細かくあり、どの部分に何を収納したいかを伝え対応してもらいました。

住んでみての感想はすごく満足しています。ずっと住んでいたような安心感に包まれるような感覚でいます。子供たちも毎日家の中を走り回り、笑い声が絶えません。
10年後20年後、その先、私たち家族と同様に年月を重ね、楽しみしながらこの家に住み続けていきたいと思います。